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在留特別許可の許否の判断に当たっては,下記の状況により、申請者各自の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して審査します。
① 在留を希望する理由
② 家族状況
③ 素行
④ 内外の諸情勢
⑤ 人道的な配慮の必要性
⑥ 我が国における不法滞在者に与える影響等
平成21年7月改訂(平成18年10月)法務省入国管理局
そして考慮する事項は以下のとおりです。
積極要素
積極要素については,入管法第50条第1項第1号から第3号に掲げる事由のほか,次のとおりです。
1 特に考慮する積極要素
(1) 当該外国人が,日本人の子又は特別永住者の子であること
(2) 当該外国人が,日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,次のいずれにも該当すること
ア 当該実子が未成年かつ未婚であること
イ 当該外国人が当該実子の親権を現に有していること
ウ 当該外国人が当該実子を現に本邦において相当期間同居の上,監護及び養育していること
(3)当該外国人が,日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために,婚姻を仮装し,又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く。)であって,次のいずれにも該当すること
ア 夫婦として相当期間共同生活をし,相互に協力して扶助していること
イ 夫婦の間に子がいるなど,婚姻が安定かつ成熟していること
(4) 当該外国人が,本邦の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く。)に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し,当該実子を監護及び養育していること
(5) 当該外国人が,難病等により本邦での治療を必要としていること,又はこのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること
2 その他の積極要素
(1) 当該外国人が,不法滞在者であることを申告するため,自ら地方入国管理官署に出頭したこと
(2)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格(注参照)で在留している者と婚姻が法的に成立している場合であって,前記1の(3)のア及びイに該当すること
(3)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格で在留している実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,前記1の(2)のアないしウのいずれにも該当すること
(4)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格で在留している者の扶養を受けている未成年・未婚の実子であること
(5)当該外国人が,本邦での滞在期間が長期間に及び,本邦への定着性が認められること
(6)その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること
消極要素
消極要素については,次のとおりです。
1 特に考慮する消極要素
(1) 重大犯罪等により刑に処せられたことがあること
<例>
・凶悪・重大犯罪により実刑に処せられたことがあること
・違法薬物及びけん銃等,いわゆる社会悪物品の密輸入・売買により刑に処せられたことがあること
(2) 出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
<例>
・ 不法就労助長罪,集団密航に係る罪,旅券等の不正受交付等の罪などにより刑に処せられたことがあること
・ 不法・偽装滞在の助長に関する罪により刑に処せられたことがあること
・ 自ら売春を行い,あるいは他人に売春を行わせる等,本邦の社会秩序を著しく乱す行為を行ったことがあること
・ 人身取引等,人権を著しく侵害する行為を行ったことがあること
2 その他の消極要素
(1) 船舶による密航,若しくは偽造旅券等又は在留資格を偽装して不正に入国したこと
(2) 過去に退去強制手続を受けたことがあること
(3) その他の刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められること
(4)その他在留状況に問題があること
<例>
・ 犯罪組織の構成員であること
2 在留特別許可の許否判断
在留特別許可の許否判断は,上記の積極要素及び消極要素として掲げている各事項について,それぞれ個別に評価し,考慮すべき程度を勘案した上,積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には,在留特別許可の方向で検討することとなります。
したがって,単に積極要素が一つ存在するからといって在留特別許可の方向で検討されるというものではなく,また,逆に,消極要素が一つ存在するから一切在留特別許可が検討されないというものでもありません。
主な例は次のとおり。
<「在留特別許可方向」で検討する例>
・ 当該外国人が,日本人又は特別永住者の子で,他の法令違反がないなど在留の状況に特段の問題がないと認められること
・ 当該外国人が,日本人又は特別永住者と婚姻し,他の法令違反がないなど在留の状況に特段の問題がないと認められること
・ 当該外国人が,本邦に長期間在住していて,退去強制事由に該当する旨を地方入国管理官署に自ら申告し,かつ,他の法令違反がないなど在留の状況に特段の問題がないと認められること
・ 当該外国人が,本邦で出生し10年以上にわたって本邦に在住している小中学校に在学している実子を同居した上で監護及び養育していて不法残留である旨を地方入国管理官署に自ら申告し,かつ当該外国人親子が他の法令違反がないなどの在留の状況に特段の問題がないと認められること
<「退去方向」で検討する例>
・ 当該外国人が,本邦で20年以上在住し定着性が認められるものの,不法就労助長罪,集団密航に係る罪,旅券等の不正受交付等の罪等で刑に処せられるなど,出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
・ 当該外国人が,日本人と婚姻しているものの,他人に売春を行わせる等,本邦の社会秩序を著しく乱す行為を行っていること
不法残留の状態で、警察や入国管理局の逮捕・摘発などで収容され、本国に強制送還されてしまうと、5年間日本に来ることができません。
また、再度同様に逮捕・勾留されると10年間に延長されます。
この、5~10年間の再上陸禁止期間(日本に来ることができない時間)は、期間が経過しても、必ず日本に戻って来られる保証はありません。
たとえば、たとえ5年経過しても、「ビザの申請をしても良いが、判断は入管の裁量で決定」するからです。
ですから、5年経過したから、当然の権利として申請しても、交付されない可能性があります。
但し、ある一定の条件をクリアーした者は、たとえ上陸禁止期間であっても、上陸特別許可で入国できる可能性はあります。
しかし、この条件をクリアーできる外国人は少ないですし、たとえ申請可能であっても手続き方法が分からなければ手続きのしようがありません。
このようなケースは、入管業務に詳しい行政書士に相談・依頼された方が良いです。
上陸特別許可に該当できる外国人は少数ですから、一般的には、出国命令制度を十分理解した上で、この制度利用することが一つの手段になります。
「出国命令制度」も在留特別許可と同じように、まず入国管理局に自主的に出頭する必要があります。
自主的に出頭した場合は、身柄が拘束されることもありません。
この手続のメリットは、出国後1年経過すれば、日本へ入国することが可能になることです。
しかし、あくまで「可能」であり、権利ではないことを、理解して下さい。
過去に退去を強制されていたり、犯罪に関与していたり、手続後も帰国せずに、日本に滞在してしまいそうなケースでは認められません。
オーバーステイになった外国人の特徴は、入管の知識はなく、自分たちの情報交換だけで行動している点です。
不法残留者の関係者である日本人は、入管業務詳しい行政書士等に相談・依頼することで、早めに問題が解決できるようにさせましょう。
捕まってからでは、たとえ弁護士を雇って裁判をしても、殆ど勝ち目はないことを自覚して下さい。
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